2022.10.10
【アップサイクルってなに?】廃材を生かしてSDGsに取り組む!SDGs目標達成のためのユニークな解決手段に迫る!
廃材を活かしてSDGsに取り組む
まずはじめにSDGsとはなにかについて説明します。
SDGsとは?
SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。
2015年9月の国連サミットで可決された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。貧困や飢餓、ジェンダー、地球温暖化、気候変動など21世紀に生きる私たちが抱える課題が包括的に挙げられ、17の大きな目標と169のターゲットから構成されています。「誰一人取り残さない」ことを原則としています。
17の目標とは?
17の目標とは以下の17個のことを言います。
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなにそしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
- 平和と公正をすべての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
目標12「つくる責任つかう責任」とは?
今回注目するのは目標12の「つくる責任つかう責任」です。これは、1970年代以降、地球の生態系が1年間に生み出すことができる資源の量より、人類全体が1年間暮らしていくために消費する資源の量の方が多い状態が続いています。私たちの今の生活は、資源を大量に使い、未来の資源やエネルギーを先に使ってしまっている生活と言えます。さらに、その大量の資源を廃棄している現状もあります。しかし、地球上の資源には限りがあります。持続可能な生活をするために、私たちは生産、消費に目を向け行動を変える責任があります。
廃棄物の現状とSDGs目標達成のための対策
廃棄物問題と上手く向き合いながら、サステナブルな社会を実現するために、具体的にどのような対策が行われているのでしょうか?
ここでは廃棄物問題の現状と、いくつかの具体的な取り組み内容を紹介します。
廃棄物の現状とは?
- 食品ロス
世界では現在9人に1人である約8億人が飢えに苦しんでいます。その一方で、先進国では毎年多くの食料が生産され、さらにそれらがすべて消費されるのではなく、余ったものは廃棄されています。世界では毎年40億トンの食料が生産されていますが、その約3分の1に相当する13億トンは廃棄されています。
- プラスチック問題
環境省が発表した「一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成30年度)について」によると、2018年度におけるプラスチックごみ総排出量は4272万トンでした。これは東京ドーム約115杯分に相当し、莫大な量のプラスチックが排出されていることがわかると思います。プラスチックは石油からできていて、軽量で丈夫な点、加工しやすい点などの利点がありますが、逆にその優れた耐久性・安定性ゆえ自然界で分解されにくいという特徴があります。このプラスチックが不法投棄やポイ捨てなどにより、自然界に流出してしまうと、河川等を通じて海にたどり付き、海洋汚染に繋がってしまいます。みなさんも、花にプラスチック製ストローが刺さったウミガメや、餌と間違えてレジ袋やプラスチックゴミを大量に飲み込み、それが原因で餓死したクジラなど生き物たちの痛々しい姿を見た事があるでしょう。さらに、プラスチックは石油からできているため、廃棄の際に二酸化炭素が排出され、地球温暖化の一因ともなっています。
目標達成のために何ができる?
- ゴミを焼却した時の廃熱をエネルギーとして利用(サーマルリサイクル)
- 破砕した木材をウッドチップとして再利用
- 古紙や再生紙を溶解し、トイレットペーパーとして再利用
- 廃油に油性分離を施し、再生重油燃料として利用
アップサイクルとは?
アップサイクルとは、本来は捨てられるはずの製品に新たな価値を与えて再生することで、「創造的再利用」ともいわれます。デザインやアイデアによって付加価値が与えられることで、ものとしての寿命が長くなることが期待されるため、製品のアップグレードととらえることもできます。このアップサイクルの概念は最近生まれたものではありません。資源の乏しい日本では、再利用する文化は古くから根付いていました。陶器などの割れやひびを漆でつなぎ、つなぎ目を金や銀で装飾する「金継ぎ」は室町時代から行われている日本の文化です。このアップサイクルが現在改めて注目されています。
リサイクルとの違いとは?
「一度使ったものを再利用する」ことを意味し、似た言葉にリサイクルがあります。リサイクルとは、廃棄されるものの中から、使えるものを取り出し原料や材料として再利用することです。再利用するという点においては、アップサイクルもリサイクルも同じですが、アップサイクルは原料や材料に戻すのではなく元の製品の素材をそのまま生かすという特徴があります。
クリエイティブリユースとは?
廃棄物をゴミとして処分するのではなく、人間の創造力を活用して芸術作品に昇華させ、新しい価値を付与するという活動です。
クリエイティブリユースという呼称のほか、エコアート、廃材アートなどと呼ばれることもあり、サステナブルな社会を実現する上で重要となる考え方の1つといえます。
アップサイクルとSDGsとの関係
先程紹介したSDGsの目標12「つくる責任つかう責任」の達成の為に必要な具体的な手段の一つが、このアップサイクルです。アップサイクルにより、プラスチックゴミが削減されると、目標14「海の豊かさを守ろう」目標13「気候変動に具体的な対策を」など他の関連した目標の達成にもつながります。
アップサイクルと企業の取り組み
アップサイクルの企業事例
ここでは、岡山県倉敷市玉島でクリエイティブリユース作品を生み出す活動を行っている有限会社イデアを取り上げます。代表取締役の大月ヒロ子さんは、クリエイティブリユースという呼び方を広めた中心人物でもあります。
イデアでは、IDEA R LABをつくることで、地域で出た廃材を地域の人と共に新たな商品に作り変えたり、廃材を収集・整理・ストックする取り組みを行っていたりします。
画像出展:廃材に新しい命を吹き込む”クリエイティブリユース”って?「IDEA R LAB」大月ヒロ子さんに聞く「人の心を動かす資源の活かし方」 | greenz.jp グリーンズ
企業がアップサイクルを推進するメリット
企業がアップサイクルを進める上で考えられる代表的なメリットを紹介します。
省エネ・コスト削減効果
アップサイクルは製品をそのまま生かす方法です。そのため、リサイクルのように原料や材料にする過程で発生するエネルギーが不要です。これは地球環境への負荷の軽減にも繋がります。さらに、アップサイクルする素材を代替素材として活用することで、素材の仕入れコストの削減も可能です。
企業のPR効果
近年、環境、社会、ガバナンスに関わるさまざまな問題を解決しながら、持続可能な経済成長を目指すESG経営が広まっています。アップサイクルを行った商品を展開することは、環境負荷を考慮した持続可能なものづくりを行っていることを表し、消費者や投資家の目にも触れやすくなり注目を浴びる機会が増えるでしょう。
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