2022.10.22
【SDGs目標11】「住み続けられるまちづくりを」とは?世界と日本のいまについて迫る!
SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」とは?
そもそも、SDGsとは?
SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の略称で「持続可能な開発目標」のことです。2015年9月に開催された国連サミットにおいて、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が全会一致で採択され、加盟各国がSDGsの達成に向けて取り組むことが宣言されました。SDGsは2030年までに貧困や飢餓、ジェンダー、地球温暖化、気候変動など21世紀に生きる私たちが抱える課題が包括的に挙げられ、17の大きな目標と、169のターゲットから構成されています。「誰一人取り残さない」社会を目指す国際社会の共通目標です。
17の目標とは?
17の目標とは以下の17個のことを言います。
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなにそしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
- 平和と公正をすべての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
目標11「住み続けられるまちづくりを」とは?
SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」とは、誰もが安全で快適に暮らし続けられるよう、気候変動や社会課題に適応したレジリエントな都市を実現するという目標です。「レジリエント」とは、日本語で「強靭」を意味し、災害などの衝撃を吸収し、元の状態に回復できる力を意味します。
したがって、すべての人が安全に安心して住み続けていけるまちを実現することがこの目標の内容です。
SDGsの17の目標について詳細記事はこちら
SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」の達成が必要とされる理由とは?
都市の人口増加が引き起こした問題に対処するため
現在、日本も含め、世界的に都市部の人口が増加しています。現在、人口の半数が都市部に集中しており、2030年には約6割、2050年には約7割にまで増えると予測されています。
THE STRATEGIC PLAN 2020-2023 序文 | UN-Habitat・国連人間居住計画
都市部の人口増加、過密化が進むと住宅不足によるスラム街に住む人口の増加、交通渋滞による大気汚染、ゴミ処理などさまざまな問題が引き起こされます。また、今後は気候変動による気温上昇や大雨洪水の発生などの災害が過酷化していくことが見込まれ、都市部では、災害時に多くの犠牲者がでることが懸念されています。
そのため、災害が起きても「被害を最小限に抑えるためのインフラ構築」、「被災してもすぐに復旧できるような支援体制」を整えることが必須です。
近い将来に起こりうる危機に適応し、乗り越えていける「レジリエント」なまちづくりが緊急の課題となっています。
目標11に関する世界の現状と取り組み事例
都市の人口増加と社会格差
都市への移住は、アジアとアフリカで顕著となっています。このような地域の都市では、貧困層に向けた住宅の供給が間に合わず、およそ10億人がスラムで暮らしているといわれます。
また、先進国においても、すべての人が質の良い住宅を確保できているわけではありません。先進国内でも社会格差が存在し、冬の寒さが厳しいヨーロッパでは、断熱のしっかり施されていない住宅に暮らす低所得の人々が暖房を十分に使うことができない「エネルギー貧困」という社会問題が表面化してきています。
温室効果ガスの7割が都市で発生
エネルギーなどの資料利用は都市に集中し、温室効果ガスの発生源となっています。温室効果ガス排出の主な原因は、エネルギー供給や交通のために、石油などの化石燃料を燃やし、二酸化炭素を排出していることです。「世界の平均気温上昇を1.5℃に抑える」という気候目標を掲げるパリ協定の達成には、都市部の改革が欠かせません。ガソリン車の交通量の増加は、大気汚染をも深刻化させています。住民の健康、気候の双方の観点から、公共交通機関の拡充など、自動車以外の移動手段のための道路整備が求められています。
すべての住宅を省エネに(ブリュッセル)
ベルギーの首都ブリュッセルでは、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルの達成を目指しています。ブリュッセルでは、建物で使用される冷暖房などによるエネルギー消費が排出される温室効果ガスの約半数を占めています。そこで、建物のエネルギー効率を向上させる政策が進められています。
新築の建物のエネルギー消費を抑えるために、ブリュッセル地域政府は2015年に新規の建物に「パッシブハウス」と呼ばれる省エネ基準を義務付けました。この基準をクリアした建物は断熱性能が強化されているため、冷暖房をあまり使わずに快適な空間を実現できます。この政策により、冷暖房の使用料が減少するため、冷暖房に使用されるエネルギーの削減が可能になります。
目標11に関する世界の現状と取り組み事例
大都市への一極集中と過疎化の進行
日本でも他の国と同様に都市部への集中が発生しています。また、日本では、地方部の人口減少や住民の高齢化、地域の過疎化も進み、建物の老朽化による空き家の増加が社会問題になっています。
自然災害の多発
日本は地形上、台風・洪水、地震・津波などさまざまな自然災害が多発する国です。大都市では建物が過密状態にあるため、災害時には大規模なインフラ・建物の損壊が懸念されています。実際に1995年に発生した阪神・淡路大震災は、社会経済的な機能が集中する都市で起きたため、大勢の犠牲者が出た上、交通、水道電気などのインフラ機能が損壊し、大きな被害をもたらしました。現在、首都直下型地震の発生が予測されるなど今後も対策が必要です。
日本の取り組み事例
都市農業のまち(東京都練馬区)
練馬区では、23区の中で最大の農地面積を有し、都市化が進んだ今でも都市農業を重要な産業としたまちづくりを行っています。都市農園により次のような環境面によい影響をもたらすことが出来ます。
・都市部の気温が周囲より高くなる「ヒートアイランド現象」の緩和になる
・二酸化炭素排出を抑制する
・公園の落ち葉を堆肥として利用できる
目標11達成のために私たちにできること
まちづくりは私たちには関係のない話のように思われますが、目標達成のためには私たち一人ひとりの意識と行動が大切です。私たちになにができるか、紹介します。
緑地をつくる
住み続けられるまちづくりには、緑地を増やすことが重要です。自宅の庭やベランダで花を植えるなどによって、小さな緑地を作ることができます。また、オフィスビルの屋上や壁を緑化することで緑地を増やすことも可能です。
家の電気を自然エネルギーに変える
地球温暖化により、異常気象などの自然災害が増えることで安全に暮らせなくなる可能性があります。そのため、住み続けられるまちづくりの目標達成のためには、地球温暖化の原因である二酸化炭素の排出量を削減することも非常に重要です。私たちに身近な自然エネルギーの例として、太陽光発電があります。自宅の屋根に取り付けるだけで、自宅の電気の一部をまかなうことが可能になります。
新着記事一覧
運営会社
株式会社OUTSENSEは、「折り工学」を専門とした設計会社です。折りによるデザイン性の付与、機能性の付与を通して、新規事業開発や製品課題解決を実施しております。
理数科目の基礎理解を深めるための理科実験教室と、理数科目を応用してさまざまな問題解決に実践的に取り組むものづくり体験を組み合わせて、テーマに合わせた体験型の授業を提供しております。