2022.08.27
【CSRとは?】CSRレポートについて、CSRレポートの現状について詳しく解説!
CSRとは?
そもそもCSRとは何か
CSR(=Corporate Social Responsibility)とは「企業の社会的責任」のことです。企業は社会に存在する以上、社会や環境に何らかの影響を与えています。企業は自社が与える影響を自覚し、地球環境や社会、消費者や従業員などのステークホルダーに対して責任を負うことが求められています。これがCSRの基本的な考え方になります。
CSRについて詳しく知りたいという方はこちらをご覧ください!
CSRレポートとは何か
CSRレポートとは企業のCSRの考え方や具体的な活動、その他の意思決定について、ステークホルダーに情報開示するためのものです。
CSRレポートでは企業のCSR活動における考え方を明確に記載し、ポジティブな情報もネガティブな情報も包み隠さず記載することが求められます。
CSRレポートの役割
CSRレポートには大きく分けて以下の3つの役割が存在します。
・企業が経済・環境・社会に配慮しバランスの取れた経営をするための指針
・社員が自社の企業活動およびその意義について理解を深めるための基準
・企業が社内外のステークホルダーとコミュニケーションを図るための情報基盤
CSRレポートは、単なる企業の宣伝・広告ツールとは異なります。企業にとってプラスになることも、マイナスになることも含めて、社内外のステークホルダーが企業を評価するための情報が載った報告書です。また、各従業員がその企業の構成員として行動し意思決定をする際の道しるべとしての役割もあります。
CSRレポートとサステナビリティレポートの違い
「サステナビリティ(sustainability)」とは、直訳すると「持続可能性」を意味します。サステナビリティの考え方では、地球環境と人間社会が良好な関係を保ちながら共存し、発展し続けていくことを目指します。
つまり、サステナビリティレポートとは地球環境や社会をを考慮して、持続可能な社会の実現に向けて企業が行う取り組みをまとめたレポートということになります。サステナビリティとCSRは「よりよい社会を目指す」という意味で方向性は同じですが、サステナビリティは企業だけでなく、国や個人など社会全体が対象で、CSRはあくまでも企業の事業活動に限られます。
CSRレポートの現状
日本におけるCSRレポートの現状について、以下のようなアンケート結果があります。
【調査内容】
CSR・サスティナビリティレポートの発行の有無について
【対象期間】
2017年11月~2018年1月
【対象企業】
3000社(上場第1部、第2部、マザーズ、 計2,795社および非上場売上高上位205社)
回答企業140社
【結果】
CSR・サスティナビリティレポートを発行していると答えた企業は56社にものぼった
出展:新時代の非財務情報開示のあり方に関する 調査研究報告書
ESG投資の広がり等にもみられるように、世界的に企業評価への非財務情報の活用がすすんでおり、日本でも企業の社会課題の解決への貢献度合いやその取り組みに対する関心が高まっています。
また、CSR活動は今や上場企業のみに求められるものではなく、上場企業や国や自治体と取引のある中所企業にも求められるようになってきています。こうした背景から、CSRレポートの発行は中小企業においても広がりを見せています。
日本企業のCSRレポートの事例
大阪ガス株式会社
大阪ガスにおいては企業理念で宣言している「4 つの価値創造」の対象者で
ある「お客さま」「社会」「株主さま」「従業員」を中心に、マルチステークホルダーを対象にCSRに関する情報を開示している。
・中長期計画では、バウンダリーをバリューチェーンにまで広げて、CSR に関わる各 指標設定や活動に取り組んでいく。特に環境面では、2017 年度から 2030 年度まで に累計約 7,000 万トンの CO2排出削減に取り組むことを宣言。
・事業と密接に関係し、最も貢献できる項目を中心にSDGs の目標を整理。CO2削減の 長期目標と関連する目標 13 の気候変動を中心に据え、目標 7、9、12 を手段として位置付け。事業拡大の下支えとなる人材確保、ダイバーシ ティ、イノベーションに関連 する目標 5、8、11 にも貢献 していく。SDGs に関連付けたビジネスの発想をどう育てていくかが今後の課題。
大和ハウス工業株式会社
長期投資先として選定されることを意識し、企業評価機関・機関投資家・有識者を対象にCSRレポートを発行している。
“大和ハウスグループの価値創造”に欠かせない 3 つの経営基盤(人財基盤、顧客基 盤、技術・ものづくり基盤)や強み(情報力、課題解決力、複合的な事業提案力)を 軸に、当社グループの成長性を伝えている。
日本企業のCSRレポートの事例
東京大学
東京大学では「環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律(環境配慮促進法)」に基づき、「東京大学環境報告書」を発行しています。
報告書中では環境安全管理・環境教育の推進・地域社会との共生等に対して、大学が果たしてきた、もし長期投資先として選定されることを意識し、企業評価機関・機関投資家・有識者を対象にCSRレポートを発行している。
参照:環境報告書 | 東京大学
東北大学
東北大学でも東京大学と同様に、「東北大学環境報告書」が発行されています。
内容としては、各研究、教育活動における環境負荷の状況、環境関連研究の紹介、環境コミュニケーションの推進等が掲載されており、大学として、社会や環境にどのように貢献していくのかという指針が示されています。
参照:東北大学環境報告書
CSRレポートの書き方ガイドライン
では実際にCSRレポートはどのように書けばよいのでしょうか。現時点(2022年8月時点)では、CSRレポートに盛り込まなければならない内容について、法的なルールは日本には存在しません。そのため、既に存在するガイドラインを参考にしながらCSRレポートを書くというのが有効な方法とされています。
CSRレポートの基準作りを進めている国際的なNPOであるGRIが発行しているガイドラインが日本でも欧米でもスタンダードとみなされており、実質的な国際基準となっています。2013年に出版されたGRIガイドライン 第4版(G4)が現時点では最も有用な資料となっています。
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