2022.08.27

【CSRとは?】CSVとの違い、CSV経営の事例などを詳しく解説!

CSVとは?

CSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)とは、2011年に経営学者のマイケル・ポーター教授がハーバード・ビジネス・レビューにおいて提唱したもので、企業が社会ニーズや問題に取り組むことで社会的価値を創造した結果、経済的な価値も創造されることを意味します。

 

ポーター教授によると、CSVには「製品と市場を見直す」「バリューチェーンの生産性を再定義する」「企業が拠点を置く地域を支援する産業クラスターをつくる」という3つのアプローチがあります。

 

これらのアプローチをもとに経済効果と社会的価値の創出を両立することを目指すのがCSVです。

 

既に一部のグローバル企業ではCSVの考え方を取り入れた経営への取り組みが始まっています。

CSVとCSRの違い

先に述べたように、CSVはCreating Shared Valueの略称であり、「共有価値の創造」と訳されます。

 

CSVは、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)としばしば混同されますが、両者は別物です。CSVは「価値の創造」に、CSRは「社会的責任」に重きが置かれています。

CSVは企業が普段行っている事業を通して社会的な課題を解決しようというものであり、CSRは企業が普段行っている事業に関係のない活動のことも指します。例えば、自動車メーカーが植林活動を行うことはCSRに当たります。

CSVとSDGsの違い

SDGs(Sustainable Development Goals)とは、「持続可能な開発目標」を意味しています。2030年までに持続可能な社会を構築することを目指す国際目標であり、2015年の国連サミットで採択されました。

SDGsは世界で取り組むべき社会課題群であるのに対して、CSVやCSRはそれらの課題に対する解決のための具体的な方法論であるというのが大きな違いです。

 

SDGsについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください!

CSVとESGの違い

ESG(Environment Social Governance)とは名前の通り、環境・社会・統治の頭文字を取った略語であり、企業が環境問題や社会問題に積極的に取り組んでいるかどうか、また、企業統治がしっかり行われているかどうか等を判断材料に投資先の企業を選ぶという考え方です。

短期的な利益追求のために起こる不祥事を抑制すること等を目的に2000年代初頭から提唱され始めました。

企業がESGを意識した経営を行うことで、それらを重要視する投資家からの融資を受けやすくなるというメリットがあります。実際、国連が2006年に、投資家にESGの考え方を重視した投資をさせることを目的に提唱した責任投資原則(PRI)に合意した機関の数は急激に増加しています。

PRI署名機関数の推移

出典:経済産業省『ESG投資』

近年CSVやSDGsに企業の注目が集まる理由

ではなぜ、近年CSVやSDGsに企業の注目が集まっているのでしょうか。従来、CSRは人的・経済的な資本に余裕のある企業が社会的な企業イメージの向上のために行うものという認識が強かったのですが、近年、企業は従業員や消費者、地域社会に責任を果たすべきであるというように認識に変化がみられるようになりました。

 

その結果として、本業を通じて社会課題を解決しようとするCSVへの意識も高まり、いまやCSVは単なる企業の社会イメージの向上に留まらず、企業の戦略や市場選定そのものにも大きな影響を与えています。

 

全世界的に取り組むべき社会課題であるSDGsも同様で、何か利益を得るために取り組むものではなく、取り組むこと自体に意味があるものというように企業の認識が変わってきたことが大きな要因と考えられています。

利益につながるCSV経営

CSVの考え方に基づき社会問題の解決を事業化することをCSV経営と呼びます。

CSV経営を通して、企業は自社の社会的イメージの向上だけでなく、経済的な効果を享受することもできます。

 

また、自社の事業内容に沿った社会課題の解決に取り組むことによって、自社の所有する技術やノウハウを活かすことができるだけでなく、経営戦略上有用な地域社会とのつながりを創出したり、他の事業者との協業によって新たな社会価値を産み出したりすることが可能となります。

 

このようにして培った関係性や技術は競争力が大きく、競合他社に差をつけることができます。

   

CSV経営の事例

出展:サステナビリティの部署はなく、社員一人ひとりがCSVで課題解決――嘉納未來・ネスレ日本 執行役員 | サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan

世界最大の食品飲料会社として知られるネスレでは、国際連合の持続可能な開発のための2030年アジェンダに合致する長期目標として、大きく以下の3つの目標を設定しました。

例えば個人と家族のための目標としては、「ネスカフェ アンバサダー」というサービスを通じて職場や自宅でのコミュニケーションの活性化に貢献することを挙げています。また、社員育成の施策としてイノベーションアワードを実施したり、2025年までに製品パッケージを100%リサイクルもしくはリユース可能にするという宣言も行っています。

製薬会社のエーザイは、医薬品の提供のみにとどまらず、誰しもが医薬品にアクセスできるようにするための取り組みや、地域医療に関する課題への解決策の提供等の活動を通じて、SDGsにおいて掲げられた各目標に合わせたCSVに取り組んでいます。

たとえば、目標3「すべての人に福祉と健康を」という目標に標準を合わせて、革新的な医薬品の創出および医薬品の提供にとどまらないソリューションの提供を目指しています。また目標1の「貧困をなくそう」と紐付いて、発展途上国・新興国における医薬品アクセス向上への取り組みを通じて、健康福祉の向上、中間所得層の拡大による経済成長への貢献をめざすことも挙げられています。

これらはエーザイの中核事業である製薬事業に関連するものであるばかりか、開発途上国・新興国という新たな市場での事業拡大にも繋がり得るため、まさにCSV的なアプローチであると言えます。

以下のマトリックスはサステナビリティに関する各施策をエーザイの事業へのインパクトと社会価値の創造力等の基準を基に整理したものです。エーザイではこのようなマトリクスを利用して課題への取り組みの進捗や、市場の変化を踏まえて必要に応じてレビューとアップデートを実施しています。

SDGsと企業の取り組みに関する詳細記事はこちら

無題のプレゼンテーション (1)

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