2023.1.14

【ICT教育とは?】導入の際のメリット・デメリットからICTとアクティブラーニングとの関係性まで徹底解説!

ICT教育とは?

ICT教育とは?

ICTとは”Information and Communication Technology”の略称で、”情報通信技術”と訳されます。IT(Information Technology)との違いは、単なる情報処理に留まらず、それらを活用したコミュニケーションを支える技術のことを指すという点にあります。インターネットを介したビデオ会議サービスや医療の現場におけるオンライン診療、SNS等での知人とのコミュニケーションなど、今や私達の生活はICTなしでは成り立たちません。

ICT教育とは、パソコンやスマートフォンやインターネットなど、先に述べたような情報通信技術を活用して行う教育手法のことです。

ICT教育が必要な理由とは?

文部科学省が令和元年に発行した「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策」によると、「もはや学校の ICT 環境は、その導入が学習に効果的であるかどうかを議論する段階ではなく、鉛筆やノート等の文房具と同様に教育現場において不可欠なものとなっていることを強く認識する必要がある」

参考:「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」(令和元年6月25日)

ICT教育のメリットとは?

ICT機器を利用して今までできなかった授業ができる

アクティブラーニングの議論が生まれる背景には、昨今の急速なグローバル化、少子高齢化、その他の社会問題などの環境、社会構造の変化が主な要因として上げられます。

特に、これまで日本が築き上げてきた製造業を軸としたモノづくり大国・先進国としての姿が失われつつあります。これまでの大量生産・大量消費の時代においては与えられた条件、指示のもといかに正確に、早く取り組めるかどうかが大切な条件でした。従って、学校における教育もそのように、一方的な詰め込み型で行われ、試験もいかに多くの情報を暗記できるかなどを測るものでした。

しかし、現在はこのかつての大量生産・大量消費の観点はSDGsなどの環境問題への取り組みによって見直されています。ほかにも様々な社会問題の解決などこれまでとは違う「答えのない」問題を解決する必要があります。また、これまで重要視されていたいかに多くの知識を暗記できるかなどの能力はAI技術の発展により、私たちに求められる能力ではなくなってきています。したがって、学校、大学などの教育では、教員が一方的に教える詰め込み型の教育では不十分であると考えられるようになり、アクティブラーニングが注目を集めるようになりました。

生徒のモチベーションが高まる

ICT機器を活用することで、勉強方法にバリエーションが生まれ、生徒の勉強に対する意欲の向上も図れます。

生徒の情報活用能力を養える

世界的に情報化社会が急速に進む現代において、情報を取捨選択し、有効に活用する手法を獲得する

生徒も教員も楽しみながら学習が可能

アナログなやり方と比べて、授業の仕方、受け方に多様性が生まれ、生徒と教員の行動に自由度が生まれます。それゆえに生徒と教員が楽しみながら学習を設計し取り組むことが可能になります。

ICT教育活用事例と効果

ICT教育の活用事例として、いくつかの教育機関で実際に行われた活動を取り上げます。

参照:EDUICT.JP| 実践事例

浜松市立豊岡小学校 / 国語 物語をつくろう

デジタル物語を作るために写真を撮影、選択するところから始まり、ICT機器を積極的に用いて授業を行った。

長野県若槻養護学校 / 情報 情報通信ネットワークを活用した情報の収集・発信

特別支援学校での活用例。学校の性質上、病院や自宅から授業を受けたい生徒など、様々な要望を受け止められる授業作りにICT機器を活用した。

ICT教育の今後の課題と解決策

「学校の授業におけるデジタル機器の利用時間」がOECD加盟国37ヶ国の中で最下位ということもあり、日本のICT教育は世界と比べて遅れていると言われがちですが、その導入の課題としてはどのようなことが考えられるのでしょうか?これはICT教育のデメリットとの関連性も高いのですが、大きく分けて以下の2つが考えられています。

自治体による学校のICT環境整備の格差

ICT環境整備のひとつとして無線LANの整備率が挙げられますが、下図によると、その整備率は都道府県ごとに大きく差があることが分かります。

 

参照:教育の情報化の現状と今後の方向性

教員のICT指導力の不足

文科省の資料によると、「児童・生徒のICT活用を指導する能力」に「できる」と回答した教員は67.1%で、残り30%の教員はICTを活用する際の自身の指導力に自信を持っていないということが分かりました。

 

参照:教育の情報化の現状と今後の方向性

アクティブラーニングとは

アクティブ・ラーニングの定義

文部科学省が発行している用語集によると、アクティブラーニングとは、能動的学習のことを指し、生徒や学生が自ら能動的に学習を行えるように設計された授業、学習のことです。具体的な手法として、グループワークやディベートなどが挙げられることが多く、これらは学習者の認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験等の能力を育むことが目的とされています。

 

参考:用語集

アクティブ・ラーニングと教育ICTの関係とは?

実はアクティブラーニングの推進のためには、前半で紹介した教育ICTの活用が非常に重要になってくるのです。アクティブラーニングの定義からも明らかですが、アクティブラーニングを実施する上で教育ICTは必ずしも必要ではありません。ただ、教育ICTを活用することで、”記録”、”共有”、”表現”の手段が多様化し、容易になります。

アクティブラーニングの現状

アクティブラーニングが注目されている背景

近年アクティブラーニングが注目されるようになったのには大きく2つの原因があります。1つは産業構造が変化したから、そしてもう1つは効果的な学習方法が明らかになってきたからです。1つ目の産業構造の変化についてですが、これは情報化社会の進展で、これまでまでの大量生産から高価値なものを少量生産するというビジネスモデルが成立するようになったことです。アクティブラーニングはこのような価値を生み出す人材の教育にうってつけな学習方法だと考えられています。2つ目の理由に関してですが、近年の認知科学の研究によって、ペアワークやディスカッションによって、自分とは異なる他者の考えを受け入れ、理解することで、知識の理解度や応用範囲が広がることが明らかになってきたことが明らかになってきました。このように、他者を交えて、能動的に学び考えるという経験は、これまでの個人主義的な学習と比べて効果が高いということが常識になってきたという社会的な背景があります。

アクティブラーニングの実施状況

では、アクティブラーニングは現状どれだけ実施されているのでしょうか?リクルートマーケティングパートナーズが2018年に実施した調査によると、全国の全日制高校のうち90.4%がアクティブラーニングを活用した授業を実施していることがわかりました。これは2014年の47.1%から比べると飛躍的に普及したことが分かります。

 

参照:株式会社リクルートマーケティングパートナーズ (2019)『高校教育改革に関する調査2018 「アクティブラーニング型授業」編』

アクティブラーニングの具体的方法

アクティブラーニングには数多くの手法がありますが、ここでは代表的な2つの手法を取り上げます。

PBL

課題解決型学習とも呼ばれる。課題解決に取り組む過程で様々な知識を得るという学習方法になります。答えが複数あるような複雑な課題に関して、学習者自らが仮説を立てて調査し、検証することを繰り返すというプロセスを取ります。

探究学習

探究学習とは、学習者が自ら課題を設定した上で答えを導くという、先ほどのPBLとは前提が異なる学習になります。答えのない問いに自分なりの答えを見つけるというクリエイティブな学習方法であり、学校教育の現場でも応用事例が見られます。

アクティブラーニング実施の際のポイント

アクティブラーニング実施の際のポイントとしては、まず学習者が能動的に学習を行えるように教員側が緻密に設計を行うこと。そして学習者が余計なストレスを感じないように、学習環境の整備をすること。そして最後に、授業と学習の成果の記録を取って次回の授業にフィードバックすること。この3点に注意してアクティブラーニングを実施することが求められます。

アクティブラーニングに関する詳細記事はこちら

無題のプレゼンテーション (1)

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